夏月一会
「麗海さんの名前ってさ、綺麗の『麗』に『海』だよね」
そう言いながら、凪は鉛筆の頭で砂の表面に私の名前を漢字で書いた。
「そうだよ」
「秋生まれなのに『海』なんだね」
「両親がね、初めてのデートで海に行って、そこの海がすごく綺麗だったらしいの。だから、私にこの名前をつけたんだって」
昔、両親にそう聞いた。
私の名前には、両親の思い出がつまっているのだと。
「へぇ…」
「凪君は、この字、だよね」
私も、指で砂に『凪』と書いた。
「これって、『風が止んで波が穏やかになる』って意味でしょ?」
「うん」
「丁度、こんな感じのことかな……」
私は、穏やかに寄せては返す波を目で追った。
「なんか、凪君にピッタリ」
落ち着いていて、一定の早さで寄せては返し、時折ふいに大きく寄せてくる……
そんな波と、凪は同じだと思った。
やっぱり、凪は海に似てる。
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そう言いながら、凪は鉛筆の頭で砂の表面に私の名前を漢字で書いた。
「そうだよ」
「秋生まれなのに『海』なんだね」
「両親がね、初めてのデートで海に行って、そこの海がすごく綺麗だったらしいの。だから、私にこの名前をつけたんだって」
昔、両親にそう聞いた。
私の名前には、両親の思い出がつまっているのだと。
「へぇ…」
「凪君は、この字、だよね」
私も、指で砂に『凪』と書いた。
「これって、『風が止んで波が穏やかになる』って意味でしょ?」
「うん」
「丁度、こんな感じのことかな……」
私は、穏やかに寄せては返す波を目で追った。
「なんか、凪君にピッタリ」
落ち着いていて、一定の早さで寄せては返し、時折ふいに大きく寄せてくる……
そんな波と、凪は同じだと思った。
やっぱり、凪は海に似てる。
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