夏月一会
「……っ!」
微笑んでいた凪の顔が、突然歪んだ。
声に呻きが聞こえ、バサッっと音をたてて凪の手からスケッチブックが落ちる。
「どうしたの……?」
何がなんなのか、全く飲み込めなかった。
凪は前屈みになって胸を押さえた。
顔が青くなって、どんどん苦しそうになっていく。
「な……ぎ……?」
その瞬間は、まるでスローモーションだった。
凪は、私が見ている前で、その場に膝をついて、倒れてしまった。
「凪!?」
私は、凪の側に駆け寄った。
「凪!…凪!?」
私は必死になって叫んだ。
「凪ぃ…!」
それしか、私にはすることができなかったんだ。
ねえ、凪……
あの時の私の声は、届いてましたか?
あの瞬間から、
私達は
一緒にいることが許されなくなってしまったね―――
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