夏月一会
「手術とか……治療をしても治らないんですか?」
「もう手遅れだ」
私の藁にもすがる思いも、伯父は冷たく突き放す。
嫌……そんなの嫌だよ……
凪……
「さっき言った通り、もうあれは病院に入れておくつもりだ。君もここまででいい。今までの報酬は、後日柳に渡すように言っておく」
私の気持ちとは裏腹に、伯父は今は関係ないことを事務的に口にした。
さっきから思っていた。
この人は、凪があんな状態なのに、ちっとも気にかけていない。
そんな風に見える。
「どうして……どうしてそんなに冷然としてるんですか!?あなたの息子が倒れて……深刻な状態だっていうのに……どうして…!」
私は叫ぶように言っていた。
だって、信じられなかった。
いくら凪の身体のことを知っていたからと言って、この態度はない。
別に、取り乱せといっているのではないけれど、でも、もう少し、心配して普通なはずだ。
「君は…何も知らないからそう言える」
伯父が、低く、まるで独り言のような声で呟いた。
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