夏月一会
家中の窓を開けて、風通しをよくしようと思ったら、家中の埃が舞い上がり、涙とくしゃみが止まらなかった。


体に悪そうだから、私は持ってきたタオルで鼻と口を覆ってから、いざ作業に取り掛かろうとした。


でも、実際に始まったのは、埃を被っていた掃除道具の水洗いからだった。


本当にいつから掃除をしていなかったんだろう……




とりあえず、私は、今日から使うベッドの布団を干して、フローリングの床にモップをかけて、家具にも雑巾がけをしていった。


自分の部屋が一通り終わったら、二階の廊下、階段、一階の廊下、リビング……とよく使いそうな順にやっていった。


汚れている上に広くて、余計に時間がかかった。


キッチンに取り掛かったところでふと時計を見てみると、もう四時半を過ぎていた。


掃除に四時間かけて、まだ全体の半分も終わっていない。

私は、今日中に終わらすのは無理だと判断した。

今日のところは、キッチンを掃除してから夕食の支度をしようと思って、冷蔵庫を開けてみた。


入っていたのは、萎びた野菜と、消費期限切れのハムやチーズだけで、使えるものは何もなかった。


…これは買出しにも行かないといけない。


私はさっさとキッチンの掃除を始めた。



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