夏月一会
買い出しには、思った以上に時間がかかった。


本当にド田舎だから、最寄りの店までが車で往復二時間もあったのだ。


帰ってきた時にはもうクタクタだったけど、お腹だって空いてる。

しかも、作らないと何もない。


私は仕方なく、疲労困憊の体に鞭打って、夕飯の支度を始めた。



しかし、夕飯を作り終えてから、私は悩んだ。


一応、二人分作ったけど、彼は食べるんだろうか。


彼はずっと部屋に閉じこもったままだ。多分食事もしていない。


いくら好きにしてもいいと言われても、元は世話をするために来たんだし、これぐらいさせてもらったっていいと思う。


聞くだけでも聞いてみようと思って、私は彼の部屋に行った。




部屋のドアをノックして、

「凪君。あの、晩御飯作ったんだけど、お腹すいてる?」

そう声をかけると、ややあって返事があった。


「…わかった。ありがとう。すぐ下りるよ」


その返事をきいてほっとしながら、私は食卓の準備をしておいた。


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