夏月一会

戻れない日々

「大丈夫ですか」

全てを話した後、柳さんは私に言った。


私は、涙を流していた。
いつから涙が出ていたんだろうか。涙が零れて、膝まで濡らしていた。
柳さんに言われるまで、気がつかなかった。



話を聞いて、後悔しないと言っていたのに、後悔しそうだった。
でも、聞いても聞かなくても、事実は変わらない。

間接的にだけれど、凪の出生には、私の出生も関わっていた。

とても、悲しい繋がり方で……



私は、産まれてはいけなかったんだろうか。

私が産まれたせいで、こんなに悲しいことがおきてしまったのではないだろうか……


誰も、こんなに悲しい思いを、辛い思いを、しなくてすんだんだ。


凪だって……


凪の顔を思い浮かべて、ふと疑問が浮かんだ。



「あの……凪は…凪はこのことを、知ってるんですか？」


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