バース(アイシテルside伸也)


車で女を家まで送り、猛と共にマンションへと帰る。



その車内で猛が独り言のように喋り出した。




「亜美ちゃんは入学した時は違ったんだ……」



「何がだ?」



「何も汚れていないくて、綺麗な女の子だったんだ。俺の周りにいる女とはまったく違って、背筋をピンっと伸ばした姿が綺麗過ぎた」



今日見た女からは想像が付かない。



髪の色も下品でいかにも軽そうに見えた。



「黒髪が艶々していて、瞳なんかもキラキラと輝いてた。俺、あんな女の子始めて見たんだよ」



興奮気味の猛はハンドルを握る俺の腕を掴む。



「危ねぇな。で、なんでそんな女があんな風になった?」

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