バース(アイシテルside伸也)


俺の言葉にガクンと力が抜けた猛。



「男だよ……」



なんだ。



結局、その辺の女と変わらねぇじゃないか。



男に近づくために自分の姿を変える女。



男を繋ぎとめるために体を差し出す女。



結局、亜美も変わらない。




「亜美ちゃんは綺麗過ぎるんだ。だから……」



「亜美が特別なわけじゃない」



「えっ?」



「女はみんなそうだ。猛の目にどんなに綺麗に写ったとしても、中身はお前の周りにいる女達と変わらない」



「亜美ちゃんはそんなことない!!」



ムキになる猛を見て、コイツにこれ以上言ってもわからないだろうと呆れた。



でも、その反面こんな風に人を信じられることが、羨ましいと思う俺がどこかにいたような気がする。

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