バース(アイシテルside伸也)
「おい、亜美」
俺はすぐにでも亜美に話を聞きたくて、亜美の頬をパチパチと叩く。
「亜美、起きろ」
「……し、んや、さ……ん?」
朦朧としながらも俺の名前を呼んでくれた亜美を、なんだか無性に抱きしめたくなる。
「起きろ」
「はい」
それなのに俺はこんなキツイ言い方しかできない。
「伸也さん、起こしてもらえますか?」
「甘えるな」
「起きたいんですけど、力が入らなくて」
亜美に優しくしてやりたい俺と、どこかでそれを拒絶している俺。
自分自身に大きな矛盾を感じながら、俺は亜美の体を起こした。