バース(アイシテルside伸也)
「言え」
「…………」
「言わないとこれからも動かなくなるぞ」
「言ったって変わらないかもしれない」
俺を睨みつけるように、きつい口調になった亜美に、拒絶していた俺はいつの間にか消えていた。
「変えてやるから言え」
「……あの時の奴がいたような気がした」
「ここにか?」
「うん」
「大丈夫だ。俺がいる限り、お前に手は出せない」
俺は亜美の隣に腰掛け、震える小さな手を力強く握った。
俺が守らなきゃ。
この小さな手を守れるのは俺だけなのかもしれない。
コイツの周りにはきっと守ってくれるような奴はいない。