バース(アイシテルside伸也)
建物の中に入ると騒ぎ声が至る所から聞こえる。
「先輩、ちわーっす!!この間話したダチ連れて来ました」
奥にいる誰かに向かって遼は大きな声を出す。
柄の悪い連中がソファーの周りを囲んでいる。
「おぉ。こっちに座れ」
そう返事をしたのは、真ん中に偉そうに座っている男。
俺らよりもかなり年上だろう。
遼はいつもよりヘラヘラと愛想を振りまいて、男の近くまで行った。
「コイツがシン。俺の先輩の康(ヤス)さん」
「どもっ」
俺は誰かに愛想を振りまいたり、ペコペコすることが嫌いだ。
そんなことしたって、人は一人なんだから……
意味なんてない。
それでも、この男の前ではいつものように振舞うことができなかった。
オーラというのか……なんていうか……
男の前に立っただけで物凄い威圧感を全身で感じる。
だから、一応挨拶だけはしておいた。