バース(アイシテルside伸也)
「行くぞ」
本当は亜美の手を握り、連れて行きたいところだが……
コイツは男に触れられる事を嫌がる。
だから仕方なく俺は途中まで出た手を引っ込めた。
そんな俺の言葉に何の反応もしない亜美。
「おい。聞こえてんのか?」
「行くぞって」
わざとシカトしてんのか?
「あんたのものじゃない」
「えっ?」
亜美の発した言葉にカズが目を真ん丸くして驚いた声を出す。
そりゃ、そうだろう。
この街で俺にこんな口聞く奴なんて数えるほどしかいねぇ。
コイツはそんなことお構いなしだが……