バース(アイシテルside伸也)

「何がおかしいの?」



亜美は俺の肩を掴み、必死に助けを求めてくる。



きっとコイツは男か女かって聞かれたと思っているんだろう。



亜美を見て男だと思う奴がいるなら教えてほしい。



亜美に兄貴だと説明をすると、少し肩の力が抜けたようだが、まだ緊張は取れないらしく、姿勢よく俺の隣に座っている。



俺は腰を降ろした兄貴に用件を伝える。



内容は桐藤 大地。



亜美の元彼が必要以上に亜美の周辺を調べ上げていることに気付いた俺は嫌な予感がしていた。



亜美が襲われた事には何か意味があるような気がして……



元彼の事を調べるとすぐに桐藤が浮かび上がってきた。



そして、俺は確信したんだ。



桐藤の後ろにはもっと大きな誰かがついていると……



亜美がこのマンションに住み着いたあの日から、俺は桐藤の消息を追っていた。



亜美の元彼から桐藤まではすぐに辿り着けたが、その後ろの存在がなかなか顔を出そうとしない。



そこで、兄貴の情報網を貸してほしくて、俺は兄貴に久しぶりに連絡を取った。
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