バース(アイシテルside伸也)
兄貴に用件を伝えると「わかった」とすぐに了承してくれた。
いち早くこの件を解決したい……
猛のような犠牲者をもう二度と出さないためにも。
兄貴と話し終えた俺は視線を亜美に移すと……
「なんで正座なんかしてる?」
「な、なんでって言われましても」
正座をしたまま固まってる亜美の姿が目に入る。
しかも、敬語だし。
「何で敬語?」
「…………」
俺は噴出しそうになるのを堪えながら亜美に尋ねると、亜美からの返事は返ってこない。
目がキョロキョロと動いている亜美に笑いをこらえるのが限界だった。
アハハ
笑い声をあげたのは俺じゃない。
兄貴も限界だったらしい。
低い声で笑う兄貴を見ながら、亜美は再び固まっている。
そういえば……
兄貴がこんな風に笑う姿を俺は見たことがあっただろうか?
兄貴が腹を抱えて笑っているなんて、物凄く違和感を感じる。