バース(アイシテルside伸也)
俺は亜美を抱えたまま病院の中へと駆け込んだ。
そして、すぐに亜美の治療が始まる。
「見つかるのが早かったので、命に別状はありません」
医者の話を聞いて、俺はそれまで力んでいた体中の力をやっと抜くことが出来た。
「カズ、今日は帰れ」
「……ヒック。うっ……」
ずっと泣きっぱなしのカズの瞼は可哀想なくらいに腫れあがっている。
こたぁに亜美……
こんなことが続けば仕方ない。
でも、俺はカズの気持ちまで考えられるほどの余裕はこの時にはなかった。
カズはコクリと頷くと亜美が寝ている病室から出て行く。
その背中を見ていると次はカズが……
そんな想いがふと過ぎる。