バース(アイシテルside伸也)


「ウチのが悪かったな。見逃してくれ」



さっきとはまったく違う表情を浮かべながら俺に軽く頭を下げた元彼。



その時、亜美が口を開いた。



「コウスケ……どうして?」



「はっ?!」



「全部嘘?」



「騙しやすかったよ」



亜美はこの優男の事を友達かなにかだと思っていたのだろう……



人を信じた亜美の心をコイツは裏切ったってことか……



高らかに声をあげて笑う優男を俺は思い切り蹴り上げた。



「今度、亜美に近づいたらどうなるか覚えておけよ。最後の忠告だ」



元彼に向かってそう言うと、アイツは片手を挙げ微笑んだ。



受けて立つってことか。



いい度胸だ。

< 224 / 355 >

この作品をシェア

pagetop