バース(ｱｲｼﾃﾙside伸也)

目の前では涙をボロボロと流しながら、泣き続ける亜美。



言葉にしなきゃコイツには伝わらない。



きっと想われるって事を知らないコイツにはどんな事でも言葉にしてやらなきゃいけなかったんだ。



「亜美」



名前を呼んでも、もう俺のほうすら見てくれない亜美の姿を見ていると、苦しくなっていく。



俺から離れていってしまうんじゃないかっていう不安が俺を包み込む。



「俺はお前が好きだ」



「可哀想だからって……」



「最後まで聞け」



投げやりに口を挟む亜美に俺は言葉を被せた。



「俺はお前をその辺の女と同じ扱いにした覚えはない。お前と出会って、初めは厄介な奴だ程度にしか思ってなかった。でも、お前を見てて昔の俺に似てる気がしたんだ。死ぬことを恐れず、誰も信用しない。そんなお前をほっとけなかった」



「伸也さんの昔？」



間抜けな顔をして、やっと俺の顔を見てくれた亜美を今すぐこの手で抱きしめたくなる。



「俺の昔話は後でゆっくりしてやるよ」



「うん」



「だから、溜まり場に行かせて、目の届くところに置いておいた。でも、お前を知れば知るほど俺はお前に惹かれていった。惹かれていったというよりは愛おしく思った。俺が守りたいと思ったんだ」



亜美の涙が少しずつ乾いていくのを確認しながら、俺は恥ずかしさを紛らわすために亜美から視線を逸らした。