バース(アイシテルside伸也)

レイカを送り、店に戻ってはみたけど……



もちろん亜美の姿はなかった。



きっと泣きながら、マンションに戻ったのだろう。



俺に裏切られたと悲しみに溺れながら。



亜美の泣き顔を思い浮かべながら、俺は亜美に何を言おうか、考えていた。



亜美が思っているように、俺は亜美を裏切った。



そんな俺が泣きじゃくる亜美を慰める事なんてできない。



今更自分のしたことの重大さに後悔しながら、店の外に出るとポケットに入れていた携帯が震えた。



着信は……猛。

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