バース(アイシテルside伸也)
決着
家の前に着き、チャイムを鳴らしてもインターフォンから亜美の声は聞こえてこない。
やはり、俺の顔などもう見たくはないのか……
道路に横付けしてある車へと戻り、煙草に火をつけた。
この煙草を吸い終えたら帰ろう。
そう思いながら煙草の煙を吐き出すと
「ごめん!!ちょっと出掛けてて」
という亜美の声が背後から聞こえる。
俺は声のするほうへ振り向くと、申し訳なさそうに俺の顔を見つめる亜美姿が……
その姿を見た途端に自然と零れる笑み。
「すっぽかされたかと思った」
冗談が言えるほど、今の俺には余裕なんてないはずなのに、亜美を目の前にするといつだって冷静な自分を演じてしまう。
「ご飯買いに行ってた」
「そうか」
「中で話そう」
「あぁ」
亜美のあとを追いかけるように、俺も家の中へと入る。