バース(アイシテルside伸也)

俺が自分の苦しみを紛らわすためにとった行動が、誰かを傷つけ、誰かを苦しめている。



あの頃はそんなことわからなかったけれど、大切にしたい奴ができた今ならわかる。



大切にしたい奴が傷つくこと、ましてや、そいつを永遠に失うなど、どれだけ辛いことか……



「祐」



俺の声に祐は体をビクンと強張らせる。



「悪かった。俺のせいで傷ついた奴は沢山いる。由梨絵もお前も俺が傷つけた」



今更こうして謝った所で、事実は何も変わらない。



失った命も戻らないし、傷ついた心も救えやしない。



俺は佑の泣き顔を見て、やっと自分がしてきた過ちに気付いたんだ。



「もういいっす。伸也さんが悪いわけじゃないってわかってます。でも、怒りのやり場がなくて……」



本当はもっと責め立てて欲しかったのに、佑は何かが吹っ切れたような顔つきで俺を見つめる。

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