バース(アイシテルside伸也)
亜美の義理の父親、境が借りていたマンションを出ることになった亜美は再び俺の元で暮らし始めた。
亜美が側にいるというだけで毎日が色付いて見える。
泣き顔も笑顔も拗ねた顔も、もっともっと見せてほしい。
俺にとって亜美が生きるすべてになっていた。
こんな風に心から思えるようになったのも、離れた時間があったから。
亜美を失って、色褪せた毎日も今日のためだったんだと思えば辛い記憶さえも消えてしまいそうだ。
「伸也さん」
そう呼ばれるたびに体の奥が熱くなってゆくのがわかる。
俺は沢山の人を犠牲にして“亜美”という幸せを手に入れたのかもしれない。
だから、亜美だけは……
幸せにしたい。