バース(アイシテルside伸也)
親父のことばかりを考えていると、あっという間に店へと着いていた。
助手席の亜美は相変わらず不安そうな顔をしている。
「亜美」
「何?」
「長い間待たせて悪かったな」
「えっ?」
亜美にこんな顔をさせてはいけない。
「一年間良く頑張った」
「うん」
「亜美は強くなったな」
「そうかもしれない」
「一人で生きていけるんだろうな」
「伸也さんがいなきゃ嫌だよ」
「あぁ」
亜美が一番大切だと想いながら……
亜美をこの手で幸せにしたいと想いながら……
こんなことを言ってしまう俺は、この段階ですべての結論を出していたのかもしれない。