バース(アイシテルside伸也)
この暗やみが合図だと知っている奴らは一斉に静まり返る。
俺はスーツに着替え、予定していた場所に素早く移動する。
その間に遼はテキパキと支持どおり動いてくれているのだろう。
少しだけバタつく音を聞きながら、再び照明がつくのを待った。
数分後……
パッと照らされる店内。
「亜美ちゃん!!おめでとう~!!」
ピンクのバラの花を一輪ずつ持って並んでいる奴らを照らしていたピンクのライトは、階段に移動する。
拍子抜けしたような亜美の表情を見ながら、俺はにやけそうになるのを堪えていた。
段取り通りにすべてが進んでいる。
あとは俺の想いを伝えるだけ。
ピンクの照明が俺の元まで来たことを確認すると、ゆっくりと階段を降りた。
一歩一歩噛み締めるように、亜美の元へと向かう。
亜美の前にたどり着くと片膝を立て、手に持っていた物を差し出した。