バース(アイシテルside伸也)
「進路がどうした?」
少し、頭がスッキリとした俺はビールを片手に亜美と向き合う。
「うん。学校では進路のことを言われてて」
「そういう時期か」
亜美が高校に入学したのはついこの間のことのように感じる俺は、時の流れる速さに少しだけ淋しくなる。
「私は……将来のことなんて考えたことなんてなかったの。猛は伸也さんと結婚するんだから、何もしなくていいって言うけど、私は違うと思うんだ」
「あぁ」
「それで色々考えた」
「何か見つかったのか?」
「うん。法律の事を勉強したいと思って」
「法律?」
亜美の口からそんな単語が出てくること自体に驚いた俺は、思わず口に含んでいたビールを吹き出しそうになった。