バース(アイシテルside伸也)
「大学に行きたいって思ってる。お金は大学に行けるくらい貯まってると思う」
「そんなにあるのか?」
「うん……たぶんある」
以前、俺と同じだと思ったことがあったよな。
“お金だけはある”
俺の口癖を亜美に言われたあの日、俺の中で何かが変わっていったんだ。
それから、金銭的な詳しい話はしたことはないが、そんなにあったとは驚きだ。
それよりも、死んだような目をして、何に対しても無気力だった亜美がこんな話をしているなんて……
知らぬ間に成長していたんだな。
「そうか」
嬉しさ反面、淋しさもある。
いつまでも、俺がいないと駄目な亜美でいて欲しかった。
これは俺の我が儘なんだけどな。