バース(アイシテルside伸也)
何も言わない俺を不安そうに覗き込む亜美を、抱きしめた。
「伸也さん?」
力強く亜美を抱きしめながら、俺は決めた。
亜美、もう俺がいなくてもやっていけるな。
お前もこの街から卒業する日が来たってことだ。
「成長したな」
亜美と共に生きていきたいと思った気持ちに嘘はない。
今でも、そう思っている。
けれど……
俺達は別々の未来を歩く運命なんだ。
生まれてきた意味を……
生きる意味を……
見つけられるまでは立ち止まっちゃいけない。
「泣いてるの?」
「泣いてなんかいねぇよ」
「ホント?」
「俺が泣くはずないだろ」
「そうだけど」
柄にもなく、亜美の肩で大泣きしていた。
頼もしくなった亜美の肩が嬉しくて。
こうして側にいられるのも、僅かなんだということが悲しくて。
俺の涙は止まらなかった。