バース(アイシテルside伸也)

マンションに着く頃には大雪が降っていて、駐車場からは二人で身を寄せ合うように、マンションへと入った。



「寒すぎるね~」



鼻のてっぺんを赤く染めた亜美が可愛らしい。



「あぁ」



「今日から思う存分眠れる」



「沢山寝て、沢山食って太らなきゃな」



「そうだね。すぐに戻るよ」



前向きな亜美の言葉さえ、申し訳なさと不安でいっぱいになる。



いくら亜美がたくましくなったからとはいえ、俺が離れれば亜美は傷つくだろう。



その事が原因で、また痩せていかないだろうか……



不安を少しでも拭い去りたくて亜美の肩をギュッと力強く抱き寄せる。
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