バース(アイシテルside伸也)
「話聞くよ」
亜美は視線を爪先に向けたまま、高いトーンでそう言った。
まるで、俺の考えをすべて見透かしているかのような言動。
そして、受験が終わったらすべてを告げようと思っていた俺に、話す機会を与えてくれるかのように。
「今日、話そうと思ってた」
「うん」
着替えを済ませ、一言も口にしないまま、ソファーに腰掛けた。
「本当は退院した日に決まっていたんだ。親父と車の外で話していたのを覚えているか?」
「覚えてるよ」
「その時に言われた」
「うん」
なるべく感情的にならないように、淡々と話を進める。