バース(アイシテルside伸也)

「会社を継いで欲しいと」



「うん」



「俺に頭を下げてきた」



少しでも気を緩めると、涙が零れそうだったんだ。



自分で決めたことだけど……



俺の一方的な我が儘なのだけれど……



亜美と離れることを受け入れられずにいたのは、俺の方だった。



「俺を捨てた男が俺に頭を下げたんだ」



「うん」



「考えさせてくれと言ったけど、俺の心はその時に決まっていた」



「うん」
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