バース(ｱｲｼﾃﾙside伸也)

「俺は、自分を捨てた母親も俺より新しい家族を選んだ父親も憎んでいた。この手で殺してやりたいほどに」



「わかる」



“うん”としか相槌を打たなかった亜美の“わかる”に俺は顔を歪める。



そう。



俺達は同じ感情を抱きながら、生きてきた。



だから、お互いを必要とし、お互いを理解したいと思ったんだ。



「でも、親父に会えば会うほど、心のどこかで許している俺がいたんだ。許しているというよりは初めから憎んでなんかいなかった。憎むことでしか生きていられなかっただけだったことに気づいた」



「…………」



「それと同時に、後継者を俺だと選んでくれたことが嬉しかった。兄貴でもなく、新しい家族の息子でもなく、俺を選んでくれたことが……それがどんな理由であったとしても、必要とされたことが嬉しかった」



「…………」



「俺は親父の期待に答えたい」



「う、うん……そうするべきだと思う」