バース(アイシテルside伸也)


レイカはカップに口を付け、


「不味い」


と眉間に皺を寄せる。



ファミレスなんかに来るからだよ。



と心の中で文句を言うと、レイカは俺を睨み付け、理不尽な申し立てをし始めた。



「なんで、こんなに不味いわけ?そもそも、コーヒーが薄いってどういうことなのよ?ねぇ、シンはこういうところよく来るんでしょ?何とかしてよ。この不味い飲み物。コーヒーだなんて呼びたくもないわ」



確かにレイカよりは、ファミレスに来る機会は多いけど……



だからって料理や飲み物の味を変えることなんて、出来るはずがない。



「ハァ~。で、レイカの用は何なんだよ?こんな所に入った自分が悪いだろ?いつもみたく、ホテルのカフェバーに行けば良かったんだよ」



呆れた俺はそう言いながら、店を出ようと立ち上がった。



これ以上、ここで、この店の悪口を言われたら、いくらなんでも気まずい。



それじゃなくても、レイカは店の中で浮いているというのに……
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