バース(アイシテルside伸也)
「そろそろ行くわ」
立ち上がり、足早に店を出ようとするレイカ。
俺は涙を堪えながら、立ち上がる。
「康さんのためにも、幸せになれよ」
「私に幸せなんて似合わない。康だって、そう言うわ」
レイカは相変わらず素直じゃないけれど、今日はそれが妙に心地よく感じた。
康さん。
レイカは幸せになれるのか?
康さんがいないこの世で、レイカは何を見て生きているんだろうな?
次にレイカに会うときは、レイカが無くしてしまった笑顔や涙が見れるといいな。
と思いながら、レイカの背中を見送った。