バース(アイシテルside伸也)
頭を下げながらも、この手が亜美に触れたいと騒ぎ立てる。
「伸也、待ちなさい。私も新垣さんも展開が急すぎてついていけないよ。亜美さんの意見も伺わなければいけないし。亜美さん、どうだい?」
親父は俺の肩を叩き、顔を上げろと合図する。
「伸也さん、お見合いは?去年じゃなかった?」
「破談になった」
「そっか……」
顔を上げると、戸惑った表情の亜美が視界に入る。
「亜美さんは伸也でいいのかい?」
「そんなこと亜美に聞かなくてもいい」
そうだよな?
亜美、俺達はどれだけ離れていても想いは変わっていない。
そんなことくらい、その瞳を見れば、すぐにわかる。