バース(アイシテルside伸也)
「伸也さん。どこ行くの?」
「いいから、ほらっ」
俺のあとを追い掛けるように、慌てて車から降りてきた亜美の前に左手を差し出す。
小さな手がそっと触れると、亜美の体温が伝わってくる。
俺は思わず亜美を引き寄せた。
「伸也さん?どうしたの?」
「こうしたかったんだろ?あの頃は言えなかった亜美の願い。違ったか?」
「どうして?どうして……知ってるの?」
涙目で俺を見上げる亜美の手を握りしめ、俺は街中にある公園の中へと足を進めた。
「ホワイトイルミネーション……」
「あぁ。どうせならこのほうがいいだろ?」
ボロボロと涙を流す亜美をもう一度引き寄せる。