バース(アイシテルside伸也)
部屋の中に入るとレイカはコートを脱ぎ、バスローブへと着替えた。
髪がきちんとセットしてあるところを見ると、本当に俺からの連絡で仕事を休んでくれたみたいだ。
「シンがこのホテルが気に入らないなら次回からは場所を変えるわ」
「気に入らないわけじゃない。ただ俺には不釣り合いだろ?周りはそういう目で見てくる」
「確かにそうね。年齢的にも、身なりもこのホテルには不釣り合い」
高そうなお酒をグラスに注ぎ、俺の隣に腰掛けたレイカからはいつも欠かさずにつけている男物の香水の匂いがする。
「でもね。不釣り合いが嫌ならば釣り合うように這い上がれば良いじゃない。シンには上を見てほしい」
「レイカは一体俺に何を望んでるんだよ?」
「シンがシンらしくいてくれることよ」