バース(アイシテルside伸也)

「馬鹿でしょ。私のために死んだのよ」



聞いたこともないようなレイカの声が耳に届いた途端、周りの雑音が一切聞こえなくなる。



「母親の所に一人で乗り込んだの。シンは康から私達のこと聞いたでしょ?!」



レイカはやっと俺の目を見てくれたけど、焦点が合っていない。



「あぁ、聞いた」



「敵対している組によ。一人で乗り込むなんて馬鹿すぎるわ」



「なんで……」



レイカはグチャグチャになった白い紙切れを俺の手に乗せた。



「これ……読んでいいのか?」



コクリと頷くレイカ。


< 85 / 355 >

この作品をシェア

pagetop