バース(アイシテルside伸也)
自分の使っている部屋以外は見たこともなかった俺は初めて下のフロアへと降りた。
これなら家具を少しそろえれば使えるな。
明日からでも使えるように、遼と二人で24時間営業の量販店へと出かけた。
ソファーやテーブル、ベッドをいくつか買い込み食料も用意した。
「金、大丈夫なのか?」
「あぁ、気にするな」
親父からもらっている金なら腐るほど持っている。
金だけはあるんだ。
康さんのようになんて、すぐにはなれないけれど、この金を使って少しでも康さんを求めている奴らの居場所は作れる。
「何人かはもうマンションの前にいるらしい」
「そうか」
量販店を出る頃にはもう朝日が昇っていた。