【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「あはは………そっか……ありがと。ちゃんと話してくれて……」
池田くんは片手で自分の額を押え目を隠すようにした。
「池田くん……好きになってくれてありがとう…」
私はそう告げ、ハンカチを渡し階段を降りた。
池田くんから私が見えなくなったのか、
池田くんの泣く声が階段に響いた。
その声は私の胸をも締め付ける切ない声だった。
その声を消すかのように雨も強く降りだした。
下駄箱まで降りてきた時、
蓮は傘を持って私を待っていた。
「おせーよ。」
そう言って、私の頭をクシャっと撫でた。
その蓮の手が今の、私の心を癒してくれた。