【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~



「あのね……私……」


私は今がさっきの続きを言うチャンスだと思って
唇を動かした。


私が話し始めると今まで下を向いていた蓮も顔を上げた。


今更緊張してきた。

言うって決めてたから、言わなくちゃ。
今言わないでいつ言うのよ。
私………!!


そう言い聞かせて、顔を挟むようにパシンと叩いた。


「あのね…蓮……私…っ」


私弱虫だ。


どうして出て来ないの?


“好き”の一言が声にならない。


頭では言う言葉は決まっているのに。


「優愛、ゆっくりでいい。焦らなくていい。
俺はちゃんと聞いてる。」


蓮は焦った私にそう優しく声をかけてくれた。



< 107 / 287 >

この作品をシェア

pagetop