【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「あのね……私……」
私は今がさっきの続きを言うチャンスだと思って
唇を動かした。
私が話し始めると今まで下を向いていた蓮も顔を上げた。
今更緊張してきた。
言うって決めてたから、言わなくちゃ。
今言わないでいつ言うのよ。
私………!!
そう言い聞かせて、顔を挟むようにパシンと叩いた。
「あのね…蓮……私…っ」
私弱虫だ。
どうして出て来ないの?
“好き”の一言が声にならない。
頭では言う言葉は決まっているのに。
「優愛、ゆっくりでいい。焦らなくていい。
俺はちゃんと聞いてる。」
蓮は焦った私にそう優しく声をかけてくれた。