【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~




「先生!すみません。
木下さん体調悪いみたいなんで。」


そう先生に向かって声を出したのは蓮だった。

私はドキリとした。


「早瀬、保健室まで連れてってくれるか?」

「はい。わかりました。」


蓮は先生にそう答えて私の体を立たせた。


「行くぞ」と耳元で低く囁きながら、
私の手をみんなに分からないように
さり気なく握って教室を出た。



教室を出た私たち。
沈黙のままあまり使われない階段の方を降りた。


「れ、蓮……」


階段の踊り場で私は沈黙を破った。


すると、蓮は私の体を思いっきり抱きしめた。

突然のことで私は、戸惑いを隠せなかった。



「れ、ん………?」



私から離れた蓮の名前を呼んだ。


蓮の表情はとても悲しそうだった…………


< 136 / 287 >

この作品をシェア

pagetop