【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「優愛………」
そう小さく呟いた蓮は、私の体を壁につけた。
私は蓮の顔が見られず、俯いてしまった。
蓮、どうしちゃったの?
いつもの蓮じゃない。
「お前泣いてただろ………」
そう言って私の肩におでこをつける蓮。
「え……」
「俺のせいだよな…ごめん。」
泣いていたのは蓮のせいじゃない。
ただ私の醜い嫉妬のせい。
私のせいなのに…………
「ち、違う……蓮のせいじゃない……」
「…え?」
「勝手に、わたしが…蓮に嫉妬しただけ。
それが、許せなかったの………」
私は、俯いたままだったけど、
蓮に伝えることができた。
それだけで、さっきまでのイライラは
初めから無かったかのように消えていた。