【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「今日はありがとな。優愛。」
「ううん。」
「じゃあ、またな。」
そう言って私の後頭部に手を回し
キスをしてくれた。
すごく甘く優しいキス。
「じゃっ」
そう言って手を降り、帰って行く蓮の腕には
私のあげたブレスレットが輝いていた。
そんな様子に私の胸は騒ぎ出す。
その胸を押さえるかのように手を当てて、
蓮の後ろ姿を見つめた。
それから、
“神様………
蓮に出逢わせてくれてありがとうございました。”
そう星空に向かって一礼し、家に入った。
家に入るとお父さんが玄関にいて
私の頭を優しく撫でてくれた。
「蓮くんを大切にしろよ。」
そう一言かけ、寝室に戻っていったお父さん。
“蓮くんを大切にしろよ。”
というお父さんの言葉が、私の胸を締め付けた。
いつだったか、
お父さんが私に言ったことがあった。
『お父さんは、お母さんを大切に出来なかった。』と。
そのことを思い出した私の心は凄く悲しくなった。