【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
結局、水族館はおあずけ………
そして、バスに乗り旅館に向かった。
バスの中は満員で座るところもないほど。
次の停車駅で1人が降り、
私の前の椅子が空いた。
私の背中をトンと軽く叩いた蓮は私に…
「座んな」
と言ってくれた。
こういう優しさはいつもと同じなんだけど……
いや、むしろいつもよりも
優しくてかっこいいと思う………
私は小さく頷き言われるがままに座った。
下から見る蓮の姿はいつも以上にかっこ良くて、
私の心はドキドキして、顔の温度があがった。
「……優愛?」
「ふぇ?」
「ふぇ?じゃねぇよ。俺の顔見てどうしたよ?」
と私と同じ目線まで下がってくれた蓮。