【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
その紙は指定席券。
蓮は前の晩に用意してくれていたみたい。
私は本当に嬉しくて
鼻の奥がツンとした。
「はいよ。」
そう言って私に1枚渡した。
「蓮…ありがとっ!!!」
「喜んでくれてよかった。んじゃ、席に行くか!」
と私と手を繋ぎ指定席に向かった。
蓮の中では手を繋ぐのが
当たり前になっているみたいだった。
私は普通にドキドキするのに、
蓮はとっても余裕がある。
ドキドキしないのかな………?
「優愛、座れよ。」
と先に座った蓮が自分の隣の席をポンポンと叩いて
私を招いてくれた。
「あ、うん。ありがとっ!」
そして私たちが座った場所は、
1番見やすい位置だった。
「ありがとね蓮っ!!」
私は蓮の横顔を見てそう言った。
蓮は、私の顔を見ずに頭をそっと撫でてくれた。