【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
蓮にキスをされてから少し時間が経ってから、
私たちは立ち上がり家へと帰るため駅に向かった。
また、時間をかけて帰らなければならない。
それに、帰ればもう、蓮とお別れ。
もっと蓮のぬくもりを感じていたい。
もっと抱きしめて欲しい。
私は、どうしてか、
蓮に対してとても欲張りになっていた。
初め蓮と会った時、
好きじゃないと言われて諦めるつもりだった。
ただ名前を呼ばれるだけで、
話しかけてくれるだけで、
そして、“特別”と言ってもらえるだけで。
それだけでよかったものが、
今はそんなんじゃ足りなくて、
触れていたい。
キスをして欲しい。
抱きしめて欲しい。
そんな風に欲張りになっちゃう。
蓮が好きすぎて苦しいよ………
「優愛、大丈夫?眠れなかったか?」
「え?ううん!平気だよ!」
蓮が優しく声をかけてくれた。