【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「優愛」
「ん?」
桃菜に声をかけられ、
私は隣を歩く桃菜の顔を見た。
「早瀬くんの傍に行きなよ。
あたし、もうすぐ潤とか、いととか来るし。」
そういった桃菜は私の背中を軽くトンと叩いた。
「う、うん。」
「行ってらっしゃい!」
私が返事すると桃菜は歯を見せニコッと笑ってくれた。
そして、私は桃菜の言葉に甘えて
少し前を歩く蓮の隣に駆け寄った。
「…!」
イヤホンをさす蓮は私に気づき
手を握ってくれた。
「……優愛、手袋しろよ。」
と呆れた声を出しながらも
蓮の着ているコートのポケットに
手を繋いだまま入れてくれた。
漫画でしか見たことのなかったこの行動。
私はすごく嬉しかった。