【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
*蓮side




俺のコートの中に入った優愛の手は
すごく小さくて、俺が少しでも力を入れれば
折れてしまうんじゃないかと思った。


俺が優愛の手をギュッと握ると
優愛も負けじと俺の手をギュッと握り返す。


隣を歩く優愛を俺は見つめた。


俺、ずっと優愛と居たい。


優愛に会うために1人でこの街に戻ってきて、
1人暮らしを始めたんだ。


もちろん親の反対を押し切ってだけど。



「あ、優愛、先行くよー」


と、名尾が優愛に声をかけた。


優愛は名尾に向かって手を振っていた。



「優愛も行けよ!」



俺は優愛を笑顔で送り出した。


優愛は俺にキラキラした笑顔を向けて
名尾の元まで走った。


その後ろ姿をじっと見つめた……


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