【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
俺の横をすり抜けて行く時
優愛は口パクで俺に『蓮…』と言った気がした。
優愛、姫井に何を言われたんだ?
なんで、悲しそうな表情で俺の名前を呼んだ…?
俺はなんだか分からないままその場から動けなくなった。
~♪~♪~
そんな時俺の携帯が震える。
【親父】
親父からだった。
「もしもし。」
俺は電話に出た。
『蓮。どうするつもりだ。』
「親父、もうしばらく待ってくれ。
まだこの街でしなきゃならない事が山ほどある。
それが終われば……」
『蓮…優愛ちゃんには話したのか。』
「話してない、それも含めて俺は
まだやり残したことがあるんだ。頼む。」
俺は電話で相手に見えるはずもないのに、
頭を下げてお願いしていた。
『…分かった。なるべく早く頼むぞ。』
ツーツーツー
「ごめん。親父。」
俺はそう呟いて携帯をポケットに戻した。
「早く話さねえとな。優愛に………」
*sideend