【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「ねぇっ!!!なんか答えろよ!!」
え。
私の前に立つミユちゃんは、
すごい剣幕で私に怒鳴った。
そんなミユちゃんは初めて見た。
男女両方に好かれている
ミユちゃんはこんなんじゃなくて。
もっと優しくて笑顔が素敵だと聞いた。
「あ、のね。ミユちゃん。」
「な、何??」
「ごめん。そのお願いは聞けない。」
私は正直に答え、頭を下げた。
「はぁ!?」
と、ミユちゃんではない声が響いた。
「ほんとに、ごめんね。
蓮は私のものだから。」
恥ずかしさなんてものはなかった。
ただただ、蓮を取られたくないという気持ちだけだった。
「そういう事だから。ごめんね。姫井。」
涙をこらえて下を向いていた私の頭に
何かをかけてくれたのは蓮だった。