【完】雨音*涙音~すれ違う恋心~
「家はね、市民病院の前だよ。」
そう言って私は屋上の扉にもたれ座った。
「そっか……ちょっと遠いんだな。」
「うん……ちょっとね…」
話が続かないこの沈黙。
私、苦手…
でも、教室にも戻りたくないな……
「どうした?木下さん?」
「え。別に何もないよ?」
「何もない顔じゃ無いな。」
「えっと……」
「優愛っ!!」
私が、言おうか迷っていた時、
桃菜が私の名前を呼んだ。
「桃菜……。」
「優愛どこに行ってたのよ!!
探しまくったんだからね!?」
そう私の顔を両手で挟み、
おでこをくっつけながら言った。